蒼き時間の記憶
All those moment will lost in time, like tears in rain.
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夕陽の中で
アイリーンさんが、前に良枝さんの言っていた、
信頼の置ける人なんだとは、すぐにわかりました。
ただ、そこから先の話は、何かに触れまいとしている感じで、
どうも要領を得ません。
「ここから先は、ちょっと人に聞かれたくない内容なの。
お部屋が用意してあるから、そっちに移ってから話さない?」
良枝さんに促され、エレベーターに乗りました。
その部屋は、ホテルの高層階にあり、大きな窓から、
夕陽につつまれた東京の風景が一望できました。
入ると広いダイニングがあり、寝室は別室です。
サラリーマン時代に泊まったビジネスホテルの何倍の広さでしょうか。
TVや映画でしか見たことない部屋に、私は驚いて、
今、財布に3万くらいしか入っていない、と思わず言ったら、
良枝さんは笑いながら、
「この部屋はアイリーンが、私たちのために用意してくれたの」
どうやら、アイリーンさんは、ただの女医ではないようです。
良枝さんは、すぐにキスをせがんできました。
私たち二人の始まりの儀式でもある長いディープキスです。
唇を舐め合うことから始まり、何度も重ね、舌を絡め、
お互いの舌を吸い合う。それが延々と続きます。
窓からの夕陽をあびた良枝さんは、とても綺麗でした。
うれしいのか、悲しいのか、閉じた眼から涙が出ていました。
良枝さんの息づかいが、キスが終わるタイミングを教えてくれます。
良枝さん、綺麗ですよ。本当に、と褒めると、
「御世辞でも嬉しい。けど、もうシミとシワだらけの40代のオバさん。
あなたに、そう言ってもらえるだけで、気が狂いそうなくらいうれしい。
だけど、あなたと、あと何回、キスできるか、あと何年、
私を求めてくれるのか、そう考えると、胸が張り裂けるほど悲しい。
私、今ならわかるの。このまま死んでしまいたい、ていう気持ちが」
「御願い、すぐにして。シャワーはいいの。服を着たままでいいから、
そこに座って。私が乗るから。知り合ったときの車の中でしたみたいに」
良枝さんは、私のズボンを降ろし、さっとスカートとショーツを脱いで、
下半身はガーターベルトとストッキングだけになると、
膝の上に乗ってきました。
「この形だとね、キスもセックスも楽しめるの」
良枝さんは、また唇を重ね、体をゆっくりと上下します。
上下動が早くなり、だんだん達してくると、唇を離し、
「あと何回キスできる、あと何回愛してもらえる、
あと何回キスできる、あと何回愛してもらえる」
何度も、そう言いながら、
やがて、大きな声で吼えて、崩れ落ちました。
この時の良枝さんは、本当に綺麗でした。
年齢とか顔とかスタイルとかを越えて。
今でも、その表情を思い出せます。
人間は死ぬ直前、人生の思い出が走馬燈のように巡るといいます。
もしも、走馬燈の最後のシーンを選べるならば、
私は、窓から差し込む夕陽の中で、涙を流して、
ディープキスをする良枝さんの恍惚とした表情を望むでしょう。

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ただ、そこから先の話は、何かに触れまいとしている感じで、
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TVや映画でしか見たことない部屋に、私は驚いて、
今、財布に3万くらいしか入っていない、と思わず言ったら、
良枝さんは笑いながら、
「この部屋はアイリーンが、私たちのために用意してくれたの」
どうやら、アイリーンさんは、ただの女医ではないようです。
良枝さんは、すぐにキスをせがんできました。
私たち二人の始まりの儀式でもある長いディープキスです。
唇を舐め合うことから始まり、何度も重ね、舌を絡め、
お互いの舌を吸い合う。それが延々と続きます。
窓からの夕陽をあびた良枝さんは、とても綺麗でした。
うれしいのか、悲しいのか、閉じた眼から涙が出ていました。
良枝さんの息づかいが、キスが終わるタイミングを教えてくれます。
良枝さん、綺麗ですよ。本当に、と褒めると、
「御世辞でも嬉しい。けど、もうシミとシワだらけの40代のオバさん。
あなたに、そう言ってもらえるだけで、気が狂いそうなくらいうれしい。
だけど、あなたと、あと何回、キスできるか、あと何年、
私を求めてくれるのか、そう考えると、胸が張り裂けるほど悲しい。
私、今ならわかるの。このまま死んでしまいたい、ていう気持ちが」
「御願い、すぐにして。シャワーはいいの。服を着たままでいいから、
そこに座って。私が乗るから。知り合ったときの車の中でしたみたいに」
良枝さんは、私のズボンを降ろし、さっとスカートとショーツを脱いで、
下半身はガーターベルトとストッキングだけになると、
膝の上に乗ってきました。
「この形だとね、キスもセックスも楽しめるの」
良枝さんは、また唇を重ね、体をゆっくりと上下します。
上下動が早くなり、だんだん達してくると、唇を離し、
「あと何回キスできる、あと何回愛してもらえる、
あと何回キスできる、あと何回愛してもらえる」
何度も、そう言いながら、
やがて、大きな声で吼えて、崩れ落ちました。
この時の良枝さんは、本当に綺麗でした。
年齢とか顔とかスタイルとかを越えて。
今でも、その表情を思い出せます。
人間は死ぬ直前、人生の思い出が走馬燈のように巡るといいます。
もしも、走馬燈の最後のシーンを選べるならば、
私は、窓から差し込む夕陽の中で、涙を流して、
ディープキスをする良枝さんの恍惚とした表情を望むでしょう。

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